2017年度2学期第9回 外国人を受け入れるべきか?
2017-12-21
英語コミュニケーションも今日で最終回。さまざまな学部から,5人が集まりました。まずは簡単に自己紹介をしてもらってから,講師のアリレザさんが本日のテーマ「外国人を受け入れるべきか?」を発表します。「(少子化が加速すると予測されるため)労働力として移民の受け入れを進めるべき」や「異なる文化をもつ外国人との交流は,日本人の視野を広げるのに役立つ」など,外国人の受け入れに賛成する学生が多数派でした。その中で,1人だけ「私は安易な受け入れには反対です。文化的な差異が大きいために,外国人を受け入れても,彼らが日本の環境に適応できずに,かえって不幸になるケースもあると聞きます」と冷静な分析をする学生さんがいます。外国人の受け入れに反対する者を「アンチ・グローバリスト」として断罪するのは簡単です。ここで興味深いのは,日本にやってくる移民の立場からこの問題を考えているのは,彼女だけだということです。一見,賛成派の意見はリベラルなものに思えますが,それらはみな日本(人)の立場からこの問題を考えたものでした。もちろん,文化や習慣を異にする人間と交流することは,私たちが視野を広げるのに資するでしょう。ただし,日本への定住を考えている移民たちが,生活水準の向上を見込んで日本に来ていることを忘れてはいけないと思います。彼らにとって日本に来ることは,生活の(ときには,生死の)問題なのであって,「外国人が日本にたくさんいれば,英語をはなす機会が増えてよい」という次元の問題ではないのです。最後に,グローバリズムという大義名分のもとに,自覚のないまま現実から目を背けた議論をしてしまう危険性を指摘して,今日は散会となりました。 (林)