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2017年度2学期第7回 なぜ中東で武力衝突がなくならないのか | ラーニングサポート室‐LSO|北海道大学大学院教育推進機構
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活動報告詳細

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2017年度2学期第7回 なぜ中東で武力衝突がなくならないのか

2017-12-07

英語コミュニケーションも今日で7回目。さまざまな学部から4人が集まりました。いつものようにお互いに自己紹介をしてもらい,講師のアリレザさんが本日のテーマ「なぜ中東で武力衝突がなくならないのか」を発表します。みんなで”Jerusalem: Trump recognition ‘kiss of death’ for peace”というBBCの記事に目を通してもらい,アメリカの大統領がイェルサレムをイスラエルの首都と認めることの歴史的意味と,そこにいたる背景について簡単におさらいをしてから,こんな質問をします。
質問者「これからみんな自宅に帰るわけだけれど,もしそこに他人がいて『今日からここは俺のうちだから,いますぐ出て行ってくれ』と言われたら,君たちはどうする?」
学生A「うーん・・・たぶん,その状況に驚いてしまって,何もできないと思います。とりあえず侵入者の言うことをきいて,だまって出ていくかもしれません」
質問者「で,そのあとはどうするの?一晩ぐらいなら泊めてくれる友人もいるかもしれないけど,このままだと家なき子になっちゃうよ?ほかの人はどう?」
学生B「とりあえず,ここは自分の家だってことを説明して,出て行ってもらえるように説得します」
質問者「なるほど,まずは交渉するわけだね。でもさ,なかには話し合いが通じない相手もいるよね?そのときはどうするの?」
学生B「うーん・・・あんまりやりたくはないですけど,高校時代にやってた柔道の腕を生かして,力づくでも出て行ってもらいます」
質問者「なるほど。でも相手は銃を持ってるかもよ?」
学生B「そのときは警察を呼びます。法の力に訴えます」
質問者「なるほど。じゃあさ,警察と侵入者が裏で協定を結んでいて,君の訴えを聞いてもらえなかったら,そのときはどうするの?」
学生B「それは,困りますね・・・うーん,どうすればいんだろう。警察ってことは,もちろん銃を持ってるってことですよね?どうしようもないなあ・・・」
学生C「そしたら,自分も銃を持つしかないですね。自分も相手と同じ力をもったうえで,交渉するのがいいんじゃないですか?」
質問者「なるほど。でもさ,君はひとりで相手は2人だよ?数の上では,やっぱり不利なんじゃない?」
学生D「あのう,ずっと思ってたんですけど,わたしは力も弱いんで,はじめから自分ひとりで戦おうとはしないと思うんです。だから,とりあえずその場では逃げるかもしれませんけど,そのあとで仲間をつくります」
質問者「なるほど。でも,仲間って?」
学生D「自分と同じように,家を追い出されてしまった人たちがいると思うので,その人たちに声をかけて,助けてもらいます」
質問者「なるほど,徒党を組む相手に対してこちらも集団で対抗するってことだね。じゃあさ,そうやって自分たちが侵入者たちよりも力を持ったとして,それからどうするの?」
学生D「相手と同等以上の力を持ったうえで,交渉します。そうすれば,侵入者たちが家を出て行ってくれるかもしれません」
学生C「うーん,そんなに上手くいくかなあ・・・もし僕が侵入者だったら,より多くの人を集めるとか,より強力な武器を買うとかして,舐められないようにしますけど」
学生B「でもさ,そしたら侵入された側がさらに同じことをするんじゃない?」
学生A「そうやってマウント取り合戦をしているから,いまの状況が生まれてるってわけですね。こうして歴史は繰り返す,と」
学生D「うーん,でも現実には集められる仲間の数には限りがあるわけですよね・・・そのときは,どうなるんでしょう?」
質問者「そしたら,きっと仲間割れするように仕向けてくるんじゃない?たとえば,僕が侵入者で警察しか味方がいないとする。で,侵入された側の君たち4人が集団を組んで,すでに侵入者側より大きな武力を持っているとする。ちなみに,A君の好きな食べ物は?」
学生A「なんですか,いきなり(笑)」
質問者「いいから,答えてよ(笑)」
学生A「油そば,ですかね」
質問者「じゃあさ,もし僕がA君に,いつでもつかえる『油そばの20%割引券』をあげるからそのかわりB・C・Dを裏切って僕たちの味方をしてよ,って頼んだらどうする?」
学生A「20%はちょっと微妙ですね。50%なら考えますけど(笑)」
質問者「おっ,なかなか交渉上手だね(笑)じゃあ,50%だったら?」
学生A「『油そば50%割引券』は魅力的ですね・・・食費も節約できるし,正直,かなり迷うと思います」
質問者「じゃあ,さらに『油そば無料券』を10枚プレゼントしちゃおう。これなら,どう?」
学生A「それは・・・Noとは言えませんね。(B・C・Dに向かって)ごめんなさい,油そばの力にやられました」
質問者「それに対して,他のみんなはどうする?」
学生B「好物につられて寝返るなんて,信用できませんね。とりあえず,A君が助けを求めてきても,僕は助けません」
学生C「うーん,実は僕,けっこう油そばが好きなんで,A君の気持ちが分からないでもないっていうか・・・」
質問者「おっ,じゃあC君にも同じ条件を提示しましょう。しかも,例の『無料券』は20枚の,出血大サービスだ」
学生C「(B・Dに向かって)すみません,あとはお2人で頑張ってください」
質問者「さあBくん,君は腕力のないDさんと2人きりになってしまったわけだけれど,いまなら特別に僕たちの仲間に入れてあげよう。ただし,割引率は20%で,『無料券』はなしだよ。さあ,どうする?」
学生B「えっ・・・でも,そしたらDさんが・・・彼女を裏切るなんて・・・僕には・・・」
質問者「じゃあ,仕方ありませんね。僕は,A君とC君にたのんで,2人の家を占領してもらうことにします。警察に頼んでも無駄です。さあ,どうします?ちなみに,僕たちの仲間に入りたいなら,いまならまだ間に合いますよ。ただし,割引券も無料券もなしです」
学生B「そんな・・・僕は・・・どうしたら・・・」
残念ながら時間がきてしまい,議論はここまで。最後にアリレザさんが「みんなが話し合ったようなことは,実際に中東で起きている。西側の陣営に対して,イスラム諸国は協力して対抗しようとしてきたのだけれども,そのたびに何らかの邪魔が入ってしまう。その結果,この地域はで憎しみの連鎖が起きている。宗教や民族,そして経済的な利権をめぐる争いが泥沼化して,現在にいたっている」というまとめをして,今日は散会となりました。地理的・文化的な隔たりを言い訳にして,私たちは中東で起きている問題から目を背けてきたように思います。さまざまな思惑が絡み合い,もつれにもつれた現在の中東情勢ですが,それを他人事とせず,地理的・文化的な隔たりがあるのを逆手にとって,それらの思惑が発生することになった歴史的な背景を知ろうとすることは,私たちにもできるはずなのですが・・・ (林)

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